顎関節の構造
顎関節症になったときに何が起こっているのかを理解するには、顎関節の構造と動きを理解することが必要です。
まず、顎関節の位置と構造について見ていきましょう。
上の図の左側にある頭蓋骨の写真で、赤い四角で囲んだ部分が顎関節です。
骨だけだとイメージしにくいかもしれませんが、口を閉じているときの顎関節は耳のすぐ前にあります。
ここで「口を閉じているとき」と書いたのには理由があります。そして、その理由を理解するとなぜ口が痛くて開けられないのかが見えてきます。
先ほどの図の右側はあご関節の詳細な構造です。顎の骨(下側の薄いグリーン)と頭蓋骨(上側の薄いブルー)の間には関節円板という軟骨が挟まっています。
関節円板は外側翼突筋とつながっていて、口を開けるときは外側翼突筋に引っぱられて伸びます。これが顎関節のすべりをよくする役割りを果たします。口を閉じるときは関節包の弾力で自然と元の位置に戻ります。
顎関節の動き
構造が理解できたところで、今度は動きを見てみましょう。
普段私たちは何も考えずに顎を動かしていますが、実は顎は2段階で開きます。1段階目はほぼ軸回転で開きます。ただしこの動きでは1〜2cm程度しか開きません。
そこからさらに大きく開こうとすると、顎が前方向にスライドしながら開く動きになります。したがって、口を最大に開いたときは下顎の位置が閉じているときよりかなり前に移動してた状態になります。この動きは耳の少し前を触りながら口を開け閉めすると何となくわかると思います。
顎が痛くて開けられない人のほとんどは1〜2cm開いてそれ以上はダメという状態だと思います。それは2段階目の前方にスライドする動きができなくなった状態になります。
下顎骨が前方にスライドできない原因は、主に次の2つだと考えられています。
- 関節円板が変形して引っかかる
- 関節円板を動かす筋肉(外側翼突筋)が故障して引っかかる
1つ目の関節円板の変形については顎関節症のメカニズムで詳しく解説しますが、余程の大変形でなければ開閉はできると考えています。なぜなら、クリック音がある人のほとんどが普段は痛みもなく口を大きく開けることができますし、顎がスムーズに動く人でも突発的にあごの痛みがでる場合があるからです。
臨床上、多くの方は筋肉を調整することで痛みがとれるので、2つめの筋肉が原因になっているケースが多いと私は考えています。そうでないと整体で対処できる説明がつきません
次は痛みの原因となるアゴに関連する筋肉についてみていきましょう。