整体は国家資格ではなく多くの方はマッサージとの区別も曖昧です。そんな状況なので次のようなことをよく聞かれます。
「整体って本当に効果あるの?」
「整体って何をするの?」
こういった質問に対して私はよく次のように言います。
「痛い場所と原因は違います。痛みの原因の多くは痛い場所とは別の筋肉にあり、その筋肉を見つけ出してなおすのが整体。だから効果がでるのです。」
このページではこの言葉をもう少し掘り下げて、整体院 Studio fReeで私がどのように考えて施術を行っているのか、その頭の中を書いてみたいと思います。厳密さよりイメージを優先していますので、その点はご了承ください。
一般的な医療は本当に効果的ですか?
一般的に整形外科や整骨院では痛みを訴えると
- 骨や関節の変形・骨折
- 靱帯や筋肉の断裂
- 神経の破損・圧迫
といった物理的な体の破損を探します。つまり
痛みのある場所、もしくはそこを支配する神経に問題がある
という前提で治療を進めていきます。治療方法も次のようなものになります。
- 痛いところに電気を流す
- 痛いところに湿布をペタペタと貼る
- 外科手術を行う
- 痛み止めを処方する
- ブロック注射など神経に麻酔をかける
こういった治療で症状が良くなるなら、私は整体の仕事に興味を持つことはなかったと思います。しかし現実には改善しない場合が少なくありません。
私自信、学生時代に膝の痛みに悩まされ、こういうことを散々やりましたが全く良くなりませんでした。MRIも撮りましたが「異常なし」です。そうなると自然と
「痛みの原因は膝とは違う場所にあるのでは?」
と考えるようになります。これが「痛いところと原因は違う」と考えるようになった原点でもあります。
痛みの本当の原因は?
まず最初に強く言っておきたいのですが
骨盤や骨格の歪みは痛みの原因ではありません!
このように書くと
「他の整体では骨盤や骨格の歪みが原因だといってるけど・・・?」
と多くの方が困惑します。実際、私も整体を学び始めたときはそう考えていましたが、体のことを学べば学ぶほど「それって本当?」という気持ちが強くなっていきました。
ちょっと考えてほしいのですが骨はそれだけで動くことはできません。筋肉や筋膜に引っぱられることで骨は動きます。
つまり筋肉・筋膜に問題があるから骨盤や骨格が歪むのであって逆はないのです。原因と結果を逆にしてはいけません。
また、骨の変形と痛みに関しても因果関係がないケースが多いです。実際、変形性膝関節症やヘルニアと診断されるような状況でも痛みがない方はたくさんいらっしゃいます。
こうした事実から分かるように痛みの発生源は筋肉や筋膜であって骨ではないのです。
「骨の変形や軟骨が減ったことが原因だ」
「老化だから仕方ない」
「手術が必要だ」
このように言われたことがある方は、諦める前に、手術をする前に、筋肉・筋膜が原因の可能性もあるということを知ってください。
筋膜というのは簡単に書くと筋肉を覆っている膜ですが、筋繊維の1本1本の中にまで入り込んでいたり内臓とも繋がっています。
このような筋膜が全身に張り巡らされており、筋膜以外を溶かしても身体の形が残るほどです。そのため筋膜は第二の骨格と呼ばれることもあり、姿勢や身体の柔軟性に大きな影響を及ぼします。
筋肉・筋膜の故障が痛み原因
このように整体院 Studio fReeでは筋肉や筋膜が故障することが痛みや体のゆがみの根本的な原因だと考えています。
まず筋肉について考えましょう。筋肉の働きは縮むことと緩むことです。筋肉が故障するというのは何らかの原因で縮むと緩むがうまくできない状態になっている状態のことを指し拘縮と呼びます。
一方、筋膜は姿勢や身体の形を維持する役割があるのですが、筋膜の故障というのは、何らかの原因で柔軟性が低下したりよじりたり、お互いに癒着して滑りが悪くなった状態を指します。
さて、人の体はテントのように全身の筋肉・筋膜がバランス良く引っぱり合うことで正常に保たれています。下の図のようにテントの骨組みが骨で、周囲から引っぱっているロープが筋肉や筋膜だと考えてください。
もし、ロープの引っ張り具合が左右でアンバランスだとテントはどうなるでしょうか?
下の図のように傾いてしますね。
体も同じです。どこか1箇所の筋肉や筋膜が故障すると、バランスが崩れて歪んでしまいます。バランスが崩れた状態だと関節がスムーズに動かなくなってしまい関節に痛みを感じるようになります。また、それをカバーするために他の筋肉や筋膜が緊張してコリ感や痛みを出すこともあります。
先ほどのテントの図では左のロープを弛めるか右のロープを引っぱれば問題は解決しますし、ロープは2つしかないのでどちらのロープの設置の仕方が悪いかもすぐに分かります。
しかし、ヒトの体というのは上のテントよりも遙かに複雑な構造物です。骨の数は約200個、筋肉の数は600個以上、筋膜同士の関連性まで含めると体のバランスを崩す原因は無限に近い組み合わせになります。
遠い場所の筋肉や筋膜の故障が原因ということも珍しくありません。首が痛いといってもその原因は首にはなくて、腰やふくらはぎにあった・・・なんてことが本当にあります。
これだけ複雑だからこそ、なかなかよくならない腰痛や肩こりがあるわけです。
どうやって故障をなおすのか?
故障している筋肉や筋膜には、押さえるとビックリするぐらい痛みがでるポイントがあります。このような圧痛点が拘縮していたりよじれているポイントです。このような場所はトリガーポイントと呼ばれたりツボと呼ばれたりする所と重なることが多いです。このあたりの定義を厳密にすると難しい話になるのですが、ここではこういう圧痛点全般のことをトリガーポイントと呼ぶことにします。
整体院 Studio fReeでは痛みの原因は主にトリガーポイントであると考え、
トリガーポイントがなくなる(押さえても痛くない状態になる)と筋肉や筋膜が正常になり体のバランスがとれていく、すなわち回復していく。
という理論をベースにして、あなたの体の動きや歪み、痛みが出るパターンから原因となりそうな筋肉や筋膜のつながりをチェックし、圧迫したり動かしたり弛ませたりといろいろな方法でトリガーポイントを取り除いていきます。
また、自律神経の乱れも血流や筋肉の緊張に影響を与えるので、そちらも同時の整えるように施術をしていきます。
どの方法がもっとも効果的かは、あなたの症状によって変わります。ですから、あなたの体に合わせたて毎回オーダーメイドの施術を行っていくことなります。
とはいえ・・・先ほどヒトの体は非常に複雑だと書きました。あなたの体に合わせて一個一個筋肉をチェックしていたら時間がいくらあっても足りません。どうしたものでしょうか・・・
重要な2つの経験則
そういう場合に便利な2つの経験則があります。経験則なのでなぜそうなるのかはよく分かっていません。でも、効果があるから使っています。
- 「ここが痛いならこの筋肉・筋膜にトリガーポイントがある可能性が高い」というパターンが経験的にたくさん分かっているのでそれを適用
- たとえ根本原因でない場所であっても、トリガーポイントを片っ端から弛めていくと、結果として原因のトリガーポイントも緩み症状が改善していく
一般的に急性の痛みの場合は1番目のパターンの当てはめでうまくいく確率が高く、比較的短時間で改善することが多いです。施術もシンプルに終わります。
一方で、慢性的な痛みや長期間放って置いた場合、複雑に影響し合ってどこが原因かハッキリしないことが多いです。そういうときは、まず2番目の経験則に従って全身を施術してしまいます。そのあと、根本原因を絞っていくという方法をとるので改善には時間がかかる場合が多いです。
また、慢性痛の場合は生活習慣も大きく関わってくるので、そちらの改善も併せてやっていくことになります。生活習慣が悪いと、せっかくなおった筋肉がまた故障してしまいますからね。
再発しないために
筋肉は同じ動作を過剰にくり返すことや、同じ体勢でじっとし続けることが苦手です。また、ストレスによる自律神経の乱れも血行の悪化など筋肉に負担をかけます。そういう状態が続くとトリガーポイントが発生して、ひどくなると痛みへと変わっていきます。
残念なことにトリガーポイントが一度できてしまうと、再び発生しやすくなります。だから同じ場所が痛くなりやすいわけです。そうならないためには次の3つがキーポイントとなっります。
- 普段の姿勢や体の使い方を注意する
- ストレッチや軽い体操など体を動かす
- たまに整体などを受けて体のコンディションを整える
整体院 Studio fReeでは、施術後にストレスがかかりにくい姿勢の作り方や、あなたの症状にあったストレッチ・体操を指導します。施術とあなた自身のセルフケアが組み合わさることで高い効果が期待できますので、面倒くさがらずに是非やってください。
1と2をしっかりやれば、3の整体はよほど疲れた時ぐらいしか必要なくなります。そういう状態を目指していきましょう。
自己管理ができれば、生涯現役で動ける体を手に入れる事ができますよ!
整体を受ける上で一つ大事な考え方があります。
それは「あなたの体を治すことができるのはあなたの体の治癒力だけ」ということです。
症状が出ているのは、何らかの原因でその治癒力が上手く働かない状態になっているからで、私たち整体師はその原因を見つけることで治癒力の手助けをするだけ。あくまで主役はあなたです。そこを忘れないでください。
自分の体を大切にすること、そして回復できる力が備わっていると信じることが何よりも大切です。